協同組合DDKは恒例の新春経済セミナー(2025年2月4日)で、岡田知弘氏から「持続可能な地域、日本、世界を作るためにー中小企業の果たす役割-」をテーマに講演を受けました。岡田氏(京都大学名誉教授・京都橘大学学長)は、人間本来の経済活動は人間が生産・消費を行い生活する地域社会を基本的な出発点として、市区町村、都道府県、国、世界へと広がる重層的な枠組みの中で捉えることを提起。半径500メートルを基本的な経済活動範囲とする視点は、グローバル化の中で人々の人間としての絆が希薄となり、隣人が連帯できる仲間と認識できなくなってしまったかに見える現在の社会・経済生活において、社会を人間らしい社会に変革していく出発点を明らかにしてくれます。
経済のグローバル化の進行は巨大企業の活動をグローバルに展開するとともに、新自由主義思想による競争原理が人々を分断し、本来連帯・団結するべき勤労市民・労働者をバラバラにし、ごく少数の勝ち組・エリート・富裕層と底辺層の格差を拡大。岡田氏の地域内経済循環論は、単に地域経済再生の理論的基礎を示すにとどまらず、グローバル化と新自由主義的分断・孤立化に対抗する人々の絆・連携を構築していく思想的方向性を示しています。
昨年来の、東京都知事選挙、総選挙、兵庫県知事選挙、都議会議員選挙、参議院選挙でSNSによるフェイク情報拡散、選挙演説等での公然としたデマ宣伝の横行が予想を超えた影響力をもって情勢を動かしました。SNS、インターネットによる匿名で極めて無責任な誹謗中傷が大量に拡散反復し、自殺者まで出ても終わることなく続けられています。こうした事態にどう対抗していくか。デマ宣伝や匿名SNSに対する法的対抗、規制も提起されると同時に、経済活動の出発点は半径500メートルの範囲であるという指摘に象徴される、人間的な経済活動のあり方の提起が、新たな視点を与えてくれます。(金融・労働研究ネットワーク 田中均)
講演を読む講演 持続可能な地域、日本、世界を作るために 岡田知弘 (2025年8月31日up) レジュメを開くDDK新春経済セミナー 講演レジュメ DDK新春経済セミナーチラシを開く講演 持続可能な地域、日本、世界を作るために 岡田知弘